
2005年2月
ムーのこゆびとは
千歳空港に到着
たった一つの
大きな使命
運命に呼ばれ
一ヶ月ほど前に
あたしが画像で心奪われ即決
今思えば一億でも安い
小さな宝物
アミュに会うために
電車を乗り継ぎ
雪道を行く

三日後
アミュは空の旅
西貨物ANA
マーガレットのキャミソールを着ていた

それからたくさんの月日が流れ
アーは我が家のリーダー

ブログを書き始め
アーのモデルっぷりはヤバかった

アーがいるからパンを焼き

ケーキもね

犬服も
ベッドも
だってアーは
あたしの作品が出来上がるともう
待機していたんだもん

カメラを向けると

気迫すら感じさせることがあった

この階段
アーのステージ

そんなアーが
体調を崩し
一晩入院し
今夜が峠と言われて退院した

時折
酸素室から出て花や風に当たり

寝ずの看病

通院は酸素室ごと

あい

してた

あい

愛しかなかった

宝だった

レンタルの酸素室のほか
あたしの誕生日プレゼントに酸素室を購入した
その晩
とてもよくない状態になり
むーのこゆびとを東京から呼んだ

アーの顔を見るなり
顔を振って涙を飛ばすようにしてこう言った
【死ぬ顔じゃないよ】
あたしは
むーのこゆびとに任せそのままぶっ倒れるように寝た
30分ほどして目を覚ますと
ムーのこゆびとが酸素のマスクをアーに当てていた
そして一緒に呼吸をするように
アーと魂を一つにするように
ろうそくの炎が揺れるみたいな
あたしの誇りがふたつ、
目の前にあった

繰り返す
2005年2月
【いま千歳着いた
ブリーダーさんに連絡して行きかたを聞いた
行ってもいいって言ってくれた
今から行って来る!】
まもなく
ムーのこゆびとの膝の上の小さなアーの写メが送られて来た
【どんな子?】
の問いにひとこと
【あまえんぼ】

愛してた

酸素室の中のアーを二人で見詰める
むーのこゆびとが言った
【あなた
1000頭のチワワの写真から
この子選んだんだっけね?】
【馬鹿言いなさんな
100万頭だよ】
と答える
冗談のように発した言葉とは裏腹に
そこに無垢な
神聖な空気が流れてしまった
【よく、、】
【よくこんな子を選んでくれたね】
のあと
部屋に充満するあの空気
むーのこゆびとに天使の羽
もうこれ以上は優しく言えないであろう声で
【ありがとう】
あたしたちのレジェンドは
背中でこの言葉を聞いていた
まるで牧師様のように

それから一週間
衰える食欲
体力
それでもアーは毅然としようとしていた
最後に支えてチッチしたあの背中
酸素室から出して
神社にも走って行った

その神社で10日前
小さな子供にバイバイまたね
あたしには聞こえた
アーは
またね、はないの
ごめんね
と言っていた

そしていつまでもその子を見ていた

その日
ストロベリーのアイスクリームをひとなめし
いつものように庭でチッチをして
そのまま
あたしは
アーを抱きしめ
風が吹き
強い風が吹き
アーの目を見つめて

もう
もういいから
もう
いけ
いくんだ
と

胸の中から波が溢れるように
生涯大切に持ち続けた愛情で
アーの魂を切った
解き放ったなんて
そんな余裕なんかない
素敵なものじゃない
初めてアーと出会って抱きしめた
その日の何十倍の愛を持って
アーの魂を自由にした



今年の薔薇は
特別に綺麗だと言ってくれたご近所さんがいた

アーちゃん
聞こえた?



愛してたんだ



雨に濡れないように


久々のブログで
狭い血管にいっぺんに血が流れたような
感情のラッシュアワーみたいになって
でも
うまく表現できない方がいいのかもしれない
ごめん
今日は
これで精一杯だ

【アーに
海を見せるって
去年約束したんだ】
そうブログに書いてから6年

あたしには夢がある

アーちゃん
叶ってしまったよ

インスタにも書いたけど
息を殺して
アーとあたしたちの心配を
ただ黙って祈ってくれた方々
言葉にすることの方がどれほどeasyか?
心の中で温めることがどんだけ大事か?そして
辛いか?
痛いほどわかってるつもり

だからなるべく
独り言みたいに
そのまま書かせてもらった
スカスカな文でさ
足りないこと一杯で

愛ってさ
もとの場所に戻すことかもしんないな

あぁくるしかった
過呼吸になりそうだった
涙乾いたらまだまだ
まーだまだたくさん話は尽きず
また聞いてよね
バナーの貼りかたもちと忘れたけど!
ポチッとしてもらえると頑張るよー
